アニメーションタイムシートについての再考
こんにちは、Patecです。
今回はPatecで開発を進めているアニメーションのタイムシートツールについて紹介します。
タイムシートについて
まずはじめにタイムシートについて軽く説明します。
絵コンテは画と文字で書かれた画面の設計図であるのに対して、タイムシートとは文字で書かれた画面設計の指示書です。タイムシートには作画された画の並び順、カメラワーク、画面効果等が記されており、撮影は基本的にこのタイムシートにのっとって作業を行います。撮影工程ではAdobe AfterEffects(以下、AE)を使用して作業を行っているプロダクションがほどんとで、Patecでも主にAEを使用しています。ここで問題になるのが、AEは元々モーショングラフィックス用のアプリケーションであって、アニメーションの撮影用ではないということです。AEを含めコンポジット作業を行えるアプリケーションはタイムライン上で1コマ1コマ使用する画の番号を指定するタイプの作業には最適化されていません。その為しばらく前から業界内で、タイムシートを打ち込み、AE用のキーフレームに変換するアプリケーションを開発される方々がおられます。それらのアプリケーションは業界内でも重宝されており素晴らしい物であります。しかし、知る限り業界内は使用OSのほとんどがWindowsでありOSXを使用しているプロダクションはごく少数であり、それらのアプリケーションもネイティブのものはWindows用となっています。
開発の流れ
PatecではAboutページにもあるように主としてOSXを使用しています。そういうこともあり、自分たちに合ったタイムシート用のツールを開発をすることになり、Patecで使用する際の要件をリストアップすると以下のようになりました。
- OSX、Windowsの両方で動作する
- 原画キーを設定できる
- AEでの設定を使用状況によって変更できる
- データをデータベースに保存し、カットリストと連動するように
- シートのバージョン管理を行える
- AEからも参照・実行出来る
これらの機能を実現する為に、Pythonを使用しWeb Applicationとして開発を進めました。フロントエンドはJavaScript、Ajaxを使用し、AEからも参照出来るようにサーバサイドにはREST APIを実装しました。
現状はAlpha版といった仕上がりですが、基本的な機能は実装しており、web版は実務作業にも耐えられるのではないかと思います。
既知の問題
AE ScriptのSocket Objectはhttpsプロトコルに対応していないため、httpsには別の方法での対応が必要となります。OSX版はhttps対応も検証しており、httpsでのREST APIへの接続も問題なく行えています。
今後
AE用のScriptは検証中であり、動作検証が終わるまで実務作業には使用できませんし、UIにも改良点がありますのでまだまだ開発を進めています。
以上、自社開発ツールのご紹介でしたが何かの参考になればと思います。